2010 年 59 巻 3 号 p. 191-200
粉末中性子回折データから結晶構造を精密化する二つの解析法について述べる。リートベルト法では,格子・構造・プロファイルパラメータなどを非線形最小二乗法で精密化する。一方,最大エントロピー法(MEM)に基づくパターンフィッティング,すなわちMPF法では,MEM解析と全回折パターンフィッティングの繰り返しにより単位胞内の干渉性散乱長密度で実質的に結晶構造を表現する。そのため,MPF法は非常に乱れた配置を取る化学種の空間分布や非調和熱振動の研究に非常に役立つ。