食品衛生学雑誌
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ビスマス共沈分離–原子吸光光度法によるグルコン酸銅中の鉛の微量分析
伊藤 道男石黒 聡高橋 文人野村 孝一杉本 敏明西村 勉
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2015 年 56 巻 3 号 p. 114-117

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抄録

グルコン酸銅中の鉛の微量分析を目的として,試料を灰化後,鉛をビスマスにより共沈分離し,原子吸光光度法(AAS)で分析する方法を開発した.試料2.0 gは乾式灰化後,硝酸(1→100)に溶解し,ビスマス75 μgを添加し,アンモニア水でpHを9.5~10.5に調整して鉛を共沈させた.沈殿は熟成のため15分間以上室温に放置し遠心分離し,アンモニア水(3→100)で洗浄した後,硝酸(1→100)に溶解してAASによる分析に供した.本法による定量下限は目標とした0.5 mg/kgを確保することができた.0.5 mg/kg および5 mg/kg相当の添加における真度,併行精度および室内精度は,それぞれ99.6%,4.2%および4.2%,また94.4%,2.8%および4.0%と推定された.本法は銅を高濃度に含む食品添加物中の鉛の微量分析に有効であると考えられる.

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© 2015 公益社団法人 日本食品衛生学会
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