Medical Mycology Journal
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総説
クリプトコックス感染における防御免疫機構のup to date
石井 恵子川上 和義
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2014 年 55 巻 3 号 p. J107-J114

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抄録

 Cryptococcus neoformansは,細胞壁の外側に多糖からなる厚い莢膜をもつ酵母型の日和見病原真菌である.エイズなど細胞性免疫が低下した宿主では真菌の増殖を抑制できず,肺クリプトコックス症や脳髄膜炎を発症する.一方,正常な免疫機能を持つほとんどの宿主では真菌は排除されるか肉芽腫内に封入され,不顕性感染となる.C. neoformansに対する感染防御においては,獲得免疫が1型ヘルパーT (Th1) 応答優位に方向付けられ,Th1細胞から産生されたインターフェロン (IFN)-γ によりマクロファージの殺菌能が活性化されることが重要であるが,自然免疫細胞によって産生されるIFN-γ のマクロファージ活性化の役割も注目されている.筆者らはこれまでにNKT細胞がTh1の誘導に関与することを示したが,最近caspase recruitment domain family member (CARD9) 依存的に NK細胞やメモリーT細胞による IFN-γ 産生がマクロファージの殺菌能活性化に関与することを見いだした.さらに,IL-4が気道粘膜上皮細胞のムチン産生を誘導することによりC. neoformansが機械的に排除されることを見いだした.

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© 2014 日本医真菌学会
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