The Journal of Nursing Investigation
Online ISSN : 2434-2238
Print ISSN : 1348-3722
がんの再発・転移で化学療法を受けるがん患者と家族の気がかり
橋本 理恵子鈴木 志津枝
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2019 年 17 巻 1 号 p. 10-19

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抄録

本研究の目的は,がんの再発・転移の告知を受け外来で化学療法を受けるがん患者とその家族がどのような気がかりを抱えているのかについて,患者と家族,双方の視点から明らかにすることである.外来で化学療法を受けているがん患者10名とその家族12名に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した.結果,がん患者の気がかりは【副作用によるさまざまな影響】【がん治療が難しくなっていく】【家族にかける負担の大きさ】【がんの再発・転移を抱える恐れ】【心身のつらさが家族に伝わらない】の5カテゴリー,家族の気がかりは,【副作用に煩わされている患者のつらさの察知】【がん治療の先行きが見えない】【患者の闘病を支える責任の重さ】【患者の再発・転移による苦悩】【患者へのかかわり方がわからない】の5カテゴリーが抽出された.看護師は,がんの再発・転移を抱え療養しているがん患者と家族が多くの気がかりを抱え,それに対応しながら療養生活を送っていることを理解する.患者と家族の気持ちの根底には,がんという不確かな存在がありお互いの気持ちにずれが生じやすいことを踏まえ,患者や家族の価値観を尊重しながら,タイムリーに支援できるよう,診断早期から患者と家族の状況を把握していくことが大切である.

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© 2019 国立大学法人 徳島大学医学部
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