日本食品科学工学会誌
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炭素・酸素安定同位体比分析による青森県産および中国産リンゴの産地判別の可能性
鈴木 彌生子中下 留美子河邉 亮北井 亜希子富山 眞吾
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キーワード: δ13C, δ18O, リンゴ, 産地判別
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2012 年 59 巻 2 号 p. 69-75

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抄録

本研究では,炭素・酸素安定同位体比分析を用いて,青森県産および中国産リンゴの産地判別の可能性を検討した.青森県産リンゴの炭素・酸素同位体比は,-26.9±1.2‰(平均値±標準偏差),19.2‰±1.4‰であるのに対し,中国産リンゴの炭素・酸素同位体比は,-25.2±1.3‰,25.4‰±2.1‰となり,炭素・酸素同位体比ともに青森県産が有意に低い値を示した(p<0.001).青森県産リンゴについて,酸素同位体比を比較すると,青森県内の地域間で有意差が見られた(p<0.001).とくに,青森市(21.5‰±0.7‰)は,酸素同位体比が高く,平賀町(17.8‰±0.6‰),西目屋村(17.7‰±0.4‰),大鰐町(17.6‰±0.4‰)では酸素同位体比が低い傾向が得られた.また,青森県産リンゴの炭素同位体比については,西目屋村は他の地域よりも有意に低い傾向が見られた.各地の降水量や水の酸素同位体比といった複数の生育環境が影響して,各国また各地域による特徴に傾向が得られたと考えられる.以上より,炭素・酸素安定同位体比分析によるリンゴの産地判別の可能性が示された.

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© 2012 日本食品科学工学会
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