進行性大腸癌に対する抗癌剤のオキサリプラチン(OX)は肝類洞障害を生じ,時に門脈圧亢進症を伴う.本研究ではOXを使用した大腸癌患者86症例に対しOX使用前後の造影CT所見と採血データの後方的な比較を行った.使用前と比較し使用後のCTでは31症例に脾腫,20症例に側副血行路を認め,そのうち1例で静脈瘤に対し加療を要した.症例群を画像所見によって分類し肝類洞障害の指標であるaspartate aminotransferase to platelet ratio indexを治療前後で比較すると,脾腫と側副血行路が共に出現した群のみで有意な上昇を認め,強い肝障害が示唆された.造影CTは治療効果判定に加え肝障害を類推し,conversion therapyとしての肝転移巣切除の適応判断の一助となり得る可能性がある.