日本レーザー医学会誌
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特集「脳神経外科領域のPDD, PDTの進歩」
悪性グリオーマに対する光線力学療法
金子 貞男
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2011 年 32 巻 2 号 p. 131-138

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抄録

悪性グリオーマに対する標準治療は手術摘出,放射線療法,化学療法である.しかしながらこれらの治療を行ってもGlioblastomaの治療成績は非常に悲観的なものであり,平均生存日数は約15ヶ月である.一方,光線力学療法(Photodynamic Therapy : PDT)は一定の腫瘍選択性のある治療方法であり,合併症が少ないという観点から悪性グリオーマに対する局所療法として脚光を浴びている.
多くの文献から悪性グリオーマに対するPDTの治療フォーマット,有害事象,利点,問題点等を考察し,悪性グリオーマに対するPDTの現時点における到達点と今後の展望について述べた.
具体的にはSam Eljamelはrandomized control studyにおいて標準療法+PDT群が標準療法単独群に比べて生存日数が統計学的に有意に延長した臨床研究を報告した.また,私どもは脳の深部に存在する悪性グリオーマに対して,腫瘍を摘出せず定位脳手術法にてoptical fiberを腫瘍に直接穿刺して組織内照射によるPDTを行い明らかな腫瘍縮小効果を認めた24症例の臨床研究.そして悪性グリオーマがeloquent areaや脊髄にあって摘出困難な13症例に対してPDTを行い明らかな治療効果の得られた臨床研究を報告した.

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