日本水処理生物学会誌
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嫌気性発酵と揺動床の組み合わせによる同時硝化脱窒と余剰汚泥の削減に関する検討
徐 暁晨金 虎小山 登一郎古川 憲治
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2009 年 45 巻 3 号 p. 123-136

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抄録

下降流嫌気性酸発酵(AF)リアクタと好気性揺動床(SB)リアクタを結合した固定床式処理システムを用いて、同時硝化脱窒と余剰汚泥削減について検討した。いずれのリアクタにもアクリル製の微生物担体を充填したが、形状の異なる担体を使用した。AF槽の担体としてはネットタイプのbiofill®(BL)を、SB槽の担体としては四方に突き出た繊維状のbiofringe®(BF)を使用した。この処理システムで合成廃水を処理対象とし、有機物負荷(OLR)1.5-4.5 kg COD m-3 d-1、窒素負荷(NLR)0.1-0.3 kg N m-3d-1で連続運転した。AFリアクタはSBリアクタの前に設置し、廃水の加水分解、発酵、アンモニア化反応を行わせた。184日の運転期間中、SRリアクタ中での同時硝化脱窒反応によって2.7 kg COD m-3 d-1以上のOLRで85-97%の安定したTN除去効率を得ることができた。加えて、AFリアクタとSBリアクタを組み合わせた処理システムで、0.13-0.17 kg MLSS kg-1 CODremovedの低い見かけの汚泥収率得られ、SBリアクタのMLSSを10,000 mg l-1以上の高い濃度で安定して維持することができた。SBリアクタについては、5.9 kg COD m-3 d-1、0.43 kg N m-3 d-1の高いCOD、TN除去速度が得られた。これらの試験結果により、AFリアクタとSBリアクタを組み合わせた処理システムで、余剰汚泥の削減と同時硝化脱窒反応による窒素除去を同時に達成することが可能であることが示された。

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© 2009 日本水処理生物学会
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