2017 年 12 巻 1 号 p. 131-139
【緒言】多施設遺族調査の参加施設での調査報告書の活用の実態を把握する.【方法】全国175施設を対象とした遺族調査であるJ-HOPE3研究によるケアの質の評価,遺族の悲嘆・うつについて全国平均との比較および各施設の対象者からの自由記載を各施設にフィードバックした.4カ月後,その活用状況について自記式質問紙の郵送調査を行った.【結果】有効回答率は74%(129施設)であった.フィードバックをスタッフが閲覧した施設は90%,カンファレンスを実施した施設は54%,病院全体に報告した施設は65%であった.約8割の施設が「自施設の強みや弱みを理解できてよかった」などフィードバックに対して肯定的な評価をしていた.48%の施設が何らかのケアの改善に取り組んでいた.【考察】調査結果の活用の実態が明らかになった.緩和ケアの質の向上のために遺族調査でのフィードバックの継続やカンファレンスの促進の必要がある.