2015 年 10 巻 3 号 p. 155-160
本研究の目的は,がん患者の突出痛の頻度とその特徴を明らかにすることである.大学病院に入院中の成人がん患者全員を連続的に対象とし聞き取り調査を行った.1)持続痛がある,2)持続痛がコントロールされている,3)短時間の悪化がある,の全てに該当する痛みを突出痛と定義し,1日の出現回数,最も強くなるまでの時間,持続時間を調査した.全適格患者 169名中調査が可能であった 118名を解析対象とした.突出痛がみられた患者は,対象者のうち 11%(95%信頼区間:7〜18%),がんに関連した痛みのある患者の23%(14〜35%),がん疼痛のある患者の29%(17〜45%)であった.突出痛の 1日の出現回数が 3回以下,痛みが最も強くなるまでの時間が 5分以内,持続時間は 15分以内と回答した患者は54%(29〜77%),54%(29〜77%),54%(29〜77%)であった.