2019 年 56 巻 7 号 p. 552-554
われわれは,骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いて脊髄損傷動物モデルに対する多くの基礎研究を行い,良好な成績を得ている.メカニズムとしては,静脈内投与したMSCが損傷部へ集積し,神経保護作用や血管新生,血液脊髄関門の安定化,再有髄化作用,sproutingなどが協奏的に発現することを確認している.これらの結果に則り,脊髄損傷患者に対するMSC静脈投与の医師主導治験を薬機法下で展開し,2018年12月に厚生労働省から「条件及び期限付承認」を取得した.また,われわれのMSC移植と運動負荷の関連に関する研究から,リハビリテーション治療そのものが神経可塑性を強く亢進するということを報告しており,今後の研究の展開が期待される.