2019 年 59 巻 2 号 p. 158-162
背景.皮膚筋炎はしばしば悪性腫瘍を合併するが,皮膚筋炎に肺癌が先行する例は稀である.症例.74歳男性.進展型小細胞肺癌(cT4N2M1a,PLE,cStage IVA)に対し,cisplatin+etoposideを開始したところ,partial responseが得られた.4コース開始前より,頚部に掻痒感を伴う皮疹が出現し,次第に拡大した.ヘリオトロープ疹,ゴットロン徴候,Vネック徴候,ショール徴候,四肢近位筋優位の筋力低下を認めたことから,皮膚筋炎と診断した.また,抗TIF1-γ抗体が陽性であった.プレドニゾロン30 mg/日およびガンマグロブリン大量静注療法を開始したところ,皮膚筋炎の症状は改善した.結語.肺癌のコントロールが得られている例でも,皮疹や筋力低下が出現した場合は,皮膚筋炎の合併に注意が必要と考えられる.