肺癌
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原著
静脈血栓塞栓症を合併した原発性肺癌患者の臨床的検討
杉野 圭史磯部 和順菊地 直村松 陽子佐野 剛高井 雄二郎本間 栄
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 49 巻 2 号 p. 151-156

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抄録

目的.原発性肺癌と静脈血栓塞栓症の合併例に関する臨床的特徴を明らかにする.対象および方法.2003年4月から2007年4月までに当科に入院した静脈血栓塞栓症を合併した原発性肺癌12症例を対象に,患者背景,臨床像,治療ならびに予後についてretrospectiveに検討した.結果.原発性肺癌230例中,12例(5.2%)に静脈血栓塞栓症の合併を認めた.性別は男性8例,女性4例で,平均年齢は66.1±11.2歳であった.組織型は腺癌が8例,扁平上皮癌と小細胞癌が2例ずつであった.全例で抗癌剤が投与されており,4例にステロイドが長期投与されていた.また長期臥床が6例,エコノミークラス症候群が1例に認められた.血栓塞栓症の治療は,11例で抗凝固療法を行い,6例が改善,4例が悪化,1例が不変であった.死因は,肺癌が7例,肺血栓塞栓症が3例,その他の原因が2例であった.全12例の生存期間中央値は35週と非合併例の49週に比べて有意に予後不良であった.結論.静脈血栓塞栓症を合併した原発性肺癌症例では,抗癌剤治療に抵抗性を示し,さらに抗凝固療法の効果も乏しく,非合併例より予後不良であった.

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© 2009 日本肺癌学会
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