西日本皮膚科
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症例
表皮母斑症候群の1例
佐藤 直樹藤山 幹子村上 信司青木 恵美橋本 公二田内 久道木村 美佳羽藤 直人庄野 佳孝
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2010 年 72 巻 4 号 p. 353-355

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抄録

10ヵ月,女児。出生時より左後頭部から左頬部,耳介にかけて表面が粗造な褐色の局面を認めた。生後9ヵ月頃より顔面神経麻痺が出現し,当科初診時,局面は外耳道内まで肉眼的に連続し,外耳道はほぼ腫瘍で充満していた。頭部CT検査では中耳真珠腫の所見であり,外耳から中耳にかけて連続した病変により,顔面神経の圧迫を生じたと考えられた。病理組織学的に,左側頭部病変では角層は肥厚し,表皮は顆粒層の肥厚を認め乳頭状に増殖していた。外毛根鞘の発達した異常な毛包が多数認められ,未熟な毛包を欠くことから脂腺母斑を否定し,表皮母斑と診断した。左乳突洞内腫瘍は,病理組織学的に皮膚付属器を認めないこと以外は左側頭部病変と同様であった。左視神経乳頭形成異常,網膜萎縮,先天性内斜視を合併しており,表皮母斑症候群と診断した。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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