西日本皮膚科
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症例
HIV感染患者に生じた悪性梅毒の1例
千葉 貴人田代 あかり師井 洋一古江 増隆谷合 啓明古庄 憲浩林 純
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2010 年 72 巻 2 号 p. 126-128

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抄録

症例は32歳,男性。HIV感染症で当院総合診療科に通院加療中であった。2008年12月頃より顔面に紅色丘疹が出現,徐々に全身性に拡大,増大し一部は潰瘍を伴い,発熱も出現してきたため同総合診療科入院後,当科紹介受診となった。血液検査では,ガラス板法およびTPHA(Treponema pallidum latex immunoassay)が高値であった。右上腕の結節部生検標本では,真皮浅層の形質細胞を混じた帯状の密な炎症細胞浸潤と類上皮肉芽腫形成が認められた。さらに,TP monoclonal抗体を用いた免疫組織学的染色で,らせん状の菌要素を確認した。臨床経過,血清学的所見および病理組織像よりHIV感染症患者に生じた悪性梅毒と診断した。2期梅毒の皮疹は多彩であるが,HIV感染症患者に合併する梅毒を診察する際,2期梅毒の一亜型である悪性梅毒も念頭に置く必要がある。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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