日本水産学会誌
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有害赤潮藻ヘテロカプサの分布域北上現象—佐渡島加茂湖での赤潮によるマガキの大量死—
近藤 伸一中尾 令子岩滝 光儀坂本 節子板倉 茂松山 幸彦長崎 慶三
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2012 年 78 巻 4 号 p. 719-725

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抄録

加茂湖は,新潟県佐渡島に位置するマガキ養殖で有名な汽水湖である。2009 年秋に初めて,同湖において貝類斃死原因渦鞭毛藻ヘテロカプサによる赤潮が発生し,養殖マガキの大量斃死が起きた(被害額 1.9 億円)。本種の由来および侵入経路は不明だが,大型台風による海水の大規模擾乱が赤潮発生の引き金になったと考えられる。それ以前のヘテロカプサの発生北限は福井県小浜湾であったこと,翌 2010 年にも再度本種による赤潮が発生したことから,本件は有害藻類分布域の高緯度地域への拡大を示す典型的な事例であるといえる。

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