土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
津波避難者発生シミュレーションを用いた津波災害時における住民の危機感の高まりやすさの地域差分析
奥村 与志弘小川 夢斗土肥 裕史清野 純史
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2016 年 72 巻 2 号 p. I_1603-I_1608

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抄録

 東日本大震災では,海側の地域と陸側の地域の間で犠牲者率に差が生じたとの事例が報告されている.著者らは,さまざまな人びとや自然現象によって地域に醸成される「逃げなければ」という雰囲気が人びとの避難開始に大きな役割を果たしているとの視点から,上述の事例は雰囲気を作り出す情報発信源の側ではなく,その雰囲気を感じとる地域住民の側の危機感の高まりやすさの地域差に起因して発生したと考えた.本研究では,その地域差を表現するために,新たに地域固有の地域定数Rを導入した避難者発生シミュレーション手法を開発した.また,同手法を当該事例に適用した結果,犠牲者率の地域間差異を説明するためには,住民が避難を開始するために蓄積しなければならない危機感の上限が,条件によっては「陸側の地域」は「海側の地域」の8倍~11倍大きく設定されなければならないことが分かった.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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