2011 年 67 巻 1 号 p. 12-27
人口,資産の集積する都市域において,地下空間は利活用が進む一方,相対的に深い位置にあるために氾濫水が流れ込みやすいという危険性も包含する.近年,地下空間や周囲に比べて相対的に低い土地における浸水の発生,水没事故などの事例が散見されており,水害発生時の迅速な避難行動が人的被害の軽減・抑制に対して重要となる.
本研究では,実物大スケールの実験装置を用いて体験型の模型実験を行い,浸水時の地下空間からの安全な避難行動に対して避難困難となる指標について検討した.実験の結果,ドアや階段からの避難する場合0.3~0.4m程度,自動車からの避難では地面から0.7~0.8m程度の水深で避難が困難になることが示された.加えて,ドアからの避難行動については被験者の年齢や体重などの個人差を考慮した考察を行った.