2016 年 72 巻 1 号 p. 192-205
鋼床版の垂直補剛材上端の溶接部から多数の疲労き裂が報告されている.本研究では,当該溶接部に発生したき裂を対象とした各種補修法の補修効果を板曲げ疲労試験によって比較・検討した.比較する補修法は,グラインダー処理によるき裂の切削法,ICR処理工法,ストップホール法である.疲労試験結果から,グラインダー処理によるき裂の切削法,ICR処理工法では,低応力範囲では疲労き裂の再発生を予防できることがわかった.一方,ストップホールでは,デッキプレート側のストップホール縁をグラインダー処理で仕上げを行わない場合,低応力範囲でもストップホール縁から疲労き裂が再発生することが示された.また,有限要素解析を行い,各種補修法の疲労寿命延命効果を定性的に評価した.