2016 年 72 巻 2 号 p. 86-100
信濃川大河津分水旧可動堰の撤去に伴い,基礎構造の調査と基礎と地盤間の空洞発生の原因調査を実施した.ボーリング調査より,基礎の木杭や止水鋼矢板は地盤状況を把握した施工が実施されたことを確認した.また木杭は,現地載荷試験より施工後80年を経過しても健全で,設計荷重を満足することを示した.更に旧可動堰基礎および床固に分布する空洞状況の調査から,空洞は杭支持または矢板工を実施した箇所で発達することを明らかにした.旧可動堰の周辺構造物は1964年(昭和39年)新潟地震等で液状化被害を受けたことから,不撹乱試料の繰返し非排水三軸試験により基礎地盤の液状化の可能性を検討するとともに,旧可動堰に対する振動台模型試験を用いた検討により,基礎と地盤間の空洞発生機構を示した.