2015 年 71 巻 1 号 p. 34-45
本論文では,電気化学的なアプローチに基づいて,鉄筋コンクリート構造物の鋼材腐食を予測する手法を構築した.本手法は,電気化学理論に基づいて酸素および水の消費量を算出して,これを,鋼材表面における境界条件として考慮する3次元反応拡散解析法である.また,鉄筋コンクリート部材を対象とした予測解析を行い,環境条件に応じた鋼材の腐食状況を把握した.また,鋼材が複雑に配置されたシールドトンネルのセグメント継手部を対象に塩害環境を再現した促進試験と,その数値シミュレーションを行い,複雑に鋼材が配置された部材の腐食状況を把握した.さらに,鉄筋コンクリート部材の補修に関する数値シミュレーションを行い,断面修復や電気防食の効果を定性的に把握した.