2002 年 2002 巻 695 号 p. 125-136
自動車による二酸化炭素排出量の低減は地球温暖化対策として大変重要視されている. 自動車単体の性能向上, 自動車交通量の抑制など様々な対策が検討されているが, 交通運用・交通制御面から捉えて交通混雑状況がどれだけ二酸化炭素排出量に影響があるかを的確に推定する手法がない. 本稿では, 実際の都市部の道路で行った実走行実験から得られた燃費データの実証分析とエンジン熱機関と車両運動の理論モデル解析を通して, 交通混雑状況下における車両挙動と燃料消費量 (すなわち二酸化炭素排出量) の関係の定式化を行う. その結果, 自動車による二酸化炭素排出量は, 旅行時間, 旅行距離, 車速変動特性の3要因により適切に定量評価できることが明らかとなった.