日本農村医学会雑誌
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短報
嚥下困難食改善の取り組み
深見 沙織朱宮 哲明山田 千夏長谷川 京子杉山 一秀尾崎 隆男
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2008 年 57 巻 2 号 p. 83-88

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抄録

 嚥下困難食を喫食する高齢入院患者の蛋白・エネルギー低栄養状態を防ぐために,現在の嚥下困難食の問題点を洗い出し,その改善に取り組んだ。トロミ剤を見直し,でんぷん系増粘剤からキサンタンガム系増粘剤に変更したことにより,時間経過や温度変化による粘度変化が減少した。ソフト食用ゲル化剤を新たに採用し,それを活用して型抜きなどを行なうことにより,見た目がよく,また付着性が低く凝集性の高い滑らかな食感となり,嚥下困難食に適したテクスチャーが得られた。これまでのミキサー食からソフト食への変更により,見た目および食感の改善された食事になった。
 当院入院中の嚥下困難食喫食者5名を対象に,改善前後の食事摂取量の変化を調査した。4名に改善後の摂取量の増加を認めており,見た目および食感の改善された事が食欲増進に繋がったと思われた。今後もこの取り組みを続け,できるだけ早期の固形食への移行を目指したい。

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© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
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