日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
エタネルセプト投与下で妊娠・出産した関節リウマチの一例
古川 加奈子前島 悦子一ノ瀬 正和
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2013 年 36 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

  症例は34歳の女性.1999年8月,23歳時に朝のこわばり,両膝関節および右第2, 3指metacarpophalangeal joint(MP)関節の腫脹および圧痛,C-reactive protein(CRP)上昇,rheumatoid factor(RF)高値より関節リウマチ(RA)と診断された.ブシラミン(BUC)300 mg/日の内服で寛解を維持していたが,26歳時に関節痛が増悪し,メトトレキサート(MTX)8 mg/週が追加投与され,症状は軽快した.その後,BUCの処方は中止となった.31歳時に両膝関節,両手関節,右第2, 3指MP関節腫張および圧痛が出現し,CRPが5.44 mg/dlと上昇し,RAの活動性が亢進した.インフリキシマブの併用が3 mg/kgで開始され,RAはコントロール良好となった.出産の約2年前にあたる32歳の時に,挙児希望のためインフリキシマブをエタネルセプト25 mg/回×2回/週に変更した.変更後も寛解が維持されたので,MTXを中止しエタネルセプト単独療法とした.翌年3月に妊娠を確認し,妊娠中のRAに対する治療はエタネルセプト継続投与とした.この間,RAのコントロールは良好で,同年10月に3192 gの男児を出産した.出産児のApgar Scoreは良好であった.生物製剤投与下での計画的な妊娠出産は今までに報告が少なく,貴重な症例と思われ報告する.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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