2010 年 99 巻 11 号 p. 2662-2668
日本呼吸器学会は2000年に市中肺炎のガイドラインを公表し,抗菌薬の選択に際し,市中肺炎の原因菌を非定型病原体と細菌の二つに分けて,両群を鑑別するための項目と基準を設けた.両群を鑑別する大きな理由は菌の耐性化を予防する,また耐性菌の蔓延を防ぐ,さらに医療資源の有効性維持のためで,狭域で有効な抗菌薬を選択する点にある.この手法はわが国のガイドラインの特徴の一つであり,ガイドライン公表後の前向き臨床研究でも有用とする報告が多いため,2007年の改訂版でも踏襲されている.