日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
飼料への酵母由来「フィターゼ」の添加による鶏ヒナ排泄リン量の低減
武政 正明村上 斉山崎 信
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1996 年 33 巻 2 号 p. 104-111

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抄録

低有効リン飼料への酵母由来フィターゼの添加が鶏雛の発育,リン蓄積およびリン排泄に及ぼす影響を調べるため,3つの実験を行った。用いた飼料は,トウモロコシ,大豆粕主体のもので,非フィチンリン(NPP)含量が0.30%の低NPP飼料であった。これに酵母フィターゼを飼料1kg当たり438単位~3,285単位(pH4.4)添加した。
低NPP飼料に酵母フィターゼを添加することにより,鶏雛の増体量,飼料効率,リン蓄積率および趾灰分含量は改善された。酵母フィターゼを約1,900単位(pH4.4)/kg(850単位(pH5.5)/kg)飼料に添加すると,無機リン0.1%添加に相当する効果が得られた。この結果,飼料に酵母フィターゼを添加することによって,従来の生産性を維持しつつ,リン排泄量を低減できることが示された。
添加した酵母フィターゼの鶏雛消化管内における活性は,筋胃,十二指腸および空回腸のいずれの部位においてもほとんど認められなかったことから,添加したフィターゼの作用の中心部位はそ嚢であることが推察された。

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