分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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液液界面フロー電解セルの作製と評価 : アルカリ金属及びアルカリ土類金属イオンの促進イオン移動の検討
中村 亮太樋上 照男
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2016 年 65 巻 3 号 p. 129-136

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抄録

本研究では液液界面が隔膜によって縦に仕切られる構造をもつ液液界面フロー電解セルを作製した.この電解セルの性能を評価するために,イオノフォアとして3種のクラウン化合物(12-クラウン-4,15-クラウン-5,ジベンゾ18-クラウン-6)を用い,電解セル中の1,2-ジクロロエタン/隔膜/水界面におけるアルカリ金属イオン(Li,Na,K,Rb,Cs)及びアルカリ土類金属イオン(Ca2+,Sr2+,Ba2+)の促進イオン移動ボルタモグラムを測定した.この測定結果をもとに,電解セルの隔膜などの改良を行うとともにアンペロメトリーの条件(流量,印加電位)の最適化を行った.一方,測定したボルタモグラムから定量におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属イオンの選択性を決定した.これをもとに,12-クラウン-4を用いる醤油中のΝaの定量を試み,再現性のよい定量値を得た.作製した液液界面フロー電解セルは分解や組立が容易であり,この電解セルを用いるアンペロメトリーがイオンの定量に有用であることが示された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2016
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