分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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改重回帰分析(DCR)と主成分分析(PCA)による変性した血液中の一酸化炭素ヘモグロビン飽和度の定量結果の信頼性と補正方法の検討
三井 利幸奥山 修司
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2013 年 62 巻 5 号 p. 423-429

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抄録

血液中の一酸化炭素ヘモグロビン飽和度(CO-Hb%)を定量するとき,血液が熱や腐敗等で変性していると正確な定量結果が得られない.改重回帰分析(DCR)や主成分分析(PCA)で定量した血液中のCO-Hb% は,熱変性で増加し,腐敗変性で減少した.そこで,DCRで定量時の重決定(R2)や重回帰式の係数の和,PCAで定量時の試料血液の第三主成分の残差スペクトル及び第三主成分得点の総和から,変性の有無,変性原因及び定量結果の信頼性を検討した.その結果,血液の変性が進行するにしたがってDCRのR2及び重回帰式の係数の和が1.0000より小さくなり,PCAの第三主成分得点の総和が大きくなることが明らかとなった.さらに,試料血液の533 nmや570 nmの第三主成分の残差吸光度と定量結果から,変性前の試料血液中のCO-Hb% を推定する方法についても検討した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2013
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