分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
DNA印刷物からの簡便なDNA転写法の考案
宗像 弓子原 愛一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 58 巻 5 号 p. 387-392

詳細
抄録

簡便な装置で,DNA印刷物を損なうことなしにDNAを転写する方法を見いだした.この装置は,DNA印刷物に被転写材を密着させ,この被転写材に2本のピン状の電極を接触させることで回路を形成し,DNA印刷物から被転写材にDNAの転写を行う.被転写材として,5 mm×10 mmのサイズのろ紙を水あるいはTBE緩衝液で湿潤させて用いた.転写後,被転写材の抽出溶液を用いてPCR増幅反応を行い,そのPCR増幅産物を検出することにより,DNAが転写していることを確認した.更に,PCR(polymerase chain reaction)増幅産物の量を定量し,最適な転写条件を見いだした.湿潤溶液として水を用いた実験では,電極間の電圧を30 V,電圧をかける時間を60秒にすると,DNA印刷物から被転写材に効率的にDNAが転写することが分かった.また,湿潤溶液としてTBE緩衝液を用いた実験の最適条件は,電極間の電圧は10 V,電圧をかける時間は60秒であった.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2009
前の記事 次の記事
feedback
Top