2000 年 49 巻 4 号 p. 265-267
樹脂に添加されている脂肪酸金属塩の定性分析法として高周波加熱法を用いた方法の検討を行った。脂肪酸金属塩にアルコールを少量添加し,315°Cで数分間熱抽出すると容易に脂肪酸エステルが生成することを見いだした。ステアリン酸Caを含むポリプロピレン樹脂ペレット,ステアリン酸Znを含むポリスチレン樹脂ペレットなどに応用したところ,脂肪酸エステルが確認され,脂肪酸金属塩の存在を証明することができた。従来の方法では脂肪酸種の同定は困難であったが,本法により容易に同定できることが判明した。また,この条件下では脂肪酸の金属塩のみがエステル化することから,アルコール添加熱抽出を行うことにより,試料中に混在する脂肪酸と脂肪酸金属塩の判別が可能となった。