分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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アルコール添加-高周波加熱法を用いるヒンダードフェノール型酸化防止剤のガスクロマトグラフィー/質量分析法による定性分析
栗原 建二田上 文代
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2000 年 49 巻 3 号 p. 205-208

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抄録

テトラキス[メチレン3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(Irganox1010®:以下IRXと略記)は分子量1177と高分子量で,揮発性が低くガスクロマトグラフィー(GC)の分析には適さない。このため,液体クロマトグラフィーで確認することが多い。著者らはIRXを含む樹脂ペレットをメタノール添加熱抽出後,GC/MSで分析したところ,メチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(MP)を検出した。MPの生成は,IRXが添加したメタノールと高温条件化でエステル交換反応を起こし,生成したものと推定された。以上から,IRXなどのエステル系高分子量添加剤を,アルコール添加熱抽出法により低分子量のメチルエステル化物に変換することで,容易にGC/MSで確認できることが分かった。

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© 2000 The Japan Society for Analytical Chemistry
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