초록

映画「あれが港の灯だ」は、現在、「日本と本国との間で板挟みになる在日」を嚆矢的に描いた作品として評価される映画である。しかし、同映画を同時代に展開していた李ライン問題と北朝鮮への送還事業、そして韓国への送還事業をめぐる韓米日の政治的な交渉を視野に入れながら考察してみると、同映画は出自を隠して生きている木村にカミングアウトを強制することにより、日本人の植民地主義の戦後責任問題を切断⋅忘却している。そして、映像の中で「李ライン外」での拿捕を強調することにより、アメリカをはじめ強大国に対しては「公海自由の原則」を主張できないにもかかわらず、韓国に対しては国際法を根拠にその主張の妥当性を振りかざしている。その結果、日本の外交的な不平等(劣等感)を隠蔽しつつ、李ラインの不当性と不法性を正当化したのである。また、映画の中では在日コリアンが韓国に帰国できない理由を単純に韓国状勢の不安(その不安を作り出した理由については言及することなく)のためだとする。しかし、同時代の韓国への送還事業に関する外交文書を考察してみると、在日コリアンの韓国送還事業は、もともと日本政府が北朝鮮への送還事業を内閣で承認したことを発端に、悪化している韓日関係を正常化するためにアメリカ側が提案した打開策の一つであった。しかし、アメリカ側が在日コリアンへの補償金や定着金を日本に貸し出ししてくれるとの最初の約束を破ることにより、実現出来なかったのである。これに対して日本側は、すべての責任はアメリカ側にあるとしつつ、その打開策を考えることもなく、韓国への送還事業問題を韓国産の米を輸入することにすり替え、釜山に抑留中の日本人船員を帰還させることに成功する。当然、韓国にとっては外交失敗であり、人道的な問題を経済的な問題にすり替えた出来事であった。すなわり、映画「あれが港の灯だ」は李ラインをめぐる同時代の韓米日の複雑に交錯している問題を、映像からアメリカを削除することにより韓日問題として焦点化したのであり、その結果、在日コリアン問題は「日本と本国との間で板挟みになる在日」として単純化されたのである。

키워드

李라인(Rhee Line), 영화(Movie), 북한송환사업(North Korea repatriation project), 한국송환사업(Korea repatriation project), 재일코리안(Korean Japanese)

참고문헌(18)open

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