日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
品質・加工
超強力コムギ「ゆめちから」の子実タンパク質含有率ならびに 「きたほなみ」とのブレンド割合がパン加工適性に及ぼす影響
阿部 珠代柳原 哲司杉川 陽一菅原 章人須田 達也高松 聡井上 哲也唐 星児
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 85 巻 1 号 p. 41-50

詳細
抄録

コムギ品種「ゆめちから」の子実品質について,2012年産および2013年産の北海道内栽培圃場のべ131地点から子実を採取して調査した.その結果,子実タンパク質含有率は10.9~16.7%と広範囲に分布し,2カ年の平均値は14.5%で,これまでの硬質コムギに比べて高タンパクであることが明らかとなった.調査した半数以上の生産物において,品質評価基準値である11.5~14.0%の範囲を超えていたが,他の品質評価項目 (容積重,灰分,フォーリングナンバー) について差異は認められなかった.軟質コムギ品種「きたほなみ」と2~8割で混合したブレンド粉について調査した結果,子実タンパク質含有率13.0%未満の「ゆめちから」では,パン品質やミキシングタイムで評価が低かった.また,子実タンパク質含有率が13.0%以上の「ゆめちから」では,6~8割混合することで高い評価が得られた.これらのことから,「きたほなみ」とのブレンドに使用する「ゆめちから」の子実タンパク質含有率は,13.0%以上であることが必要と判断される.以上のような現地実態と加工適性調査に加え,タンパク質含有率に対する品質評価基準を考慮すると,「ゆめちから」の子実タンパク質含有率は14.0% (13.0~15.5%) を目標とするのが妥当と考えられ,これらより調製したブレンド粉では,市販粉相当あるいはそれ以上の評価が得られた.

著者関連情報
© 2016 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top