2011 年 26 巻 5 号 p. 693-697
〔目的〕本研究では超音波画像を用いた腰部多裂筋筋厚測定の検者内信頼性を級内相関係数(ICC)と最小可検変化量(MDC)により検討した.〔対象〕健常成人男性10名とした.〔方法〕測定課題は腰部多裂筋の機能である仙骨前屈運動を伴う骨盤前傾の静止性収縮とした.測定条件は活動強度と3つの異なる骨盤傾斜角度とした.左腰部多裂筋の筋厚を超音波画像診断装置を用いて測定した.同日内,異なる測定日間のそれぞれでICCとMDCの95%信頼区間(MDC95)を求め,検者内信頼性と測定誤差を検討した.〔結果〕同日内のICCは0.73-0.96,異なる測定日間のICCは骨盤中間位での最大収縮で低い値となったが,それ以外では0.67-0.93であった.MDC95 は同日内で0.8-2.7 mm,異なる測定日間で1.5-3.0 mmであった.〔結論〕超音波画像を用いた本実験肢位における腰部多裂筋の筋厚測定は,活動強度と骨盤傾斜角度を変化させても信頼性の高い測定が可能である.