アレルギー
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症例報告
コカミドプロピルベタイン含有洗浄剤によるアレルギー性接触皮膚炎の1例
―洗浄剤に含まれる不純物が原因抗原と考えられた例―
飯島 茂子村山 佳代髙山 典子秋山 卓美杉山 真理子松永 佳世子
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2022 年 71 巻 9 号 p. 1136-1142

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抄録

コカミドプロピルベタイン(CAPB)は両性界面活性剤の1つで,起泡・洗浄などの作用を有し,シャンプー・ボディソープなどの多数の製品に含有されている.CAPBによるアレルギー性接触皮膚炎(ACD)は,近年その中に微量に混入する不純物が感作物質であると考えられている.今回,CAPBによるACDを経験し,不純物を含めたパッチテストを施行した.症例は64歳女性.初診の1カ月前から,額と毛の生え際に発疹が出現し,その後,顔面,頸部,背部,胸部に拡大した.パッチテストにて持参のシャンプー・ボディソープ1%水溶液(aq.)およびその成分CAPB 1% aq.,ラウラミドプロピルベタイン(LAPB)1% aq.に陽性,さらに不純物であるラウラミドプロピルジメチルアミン(LAPDMA)0.05% aq.に陽性であった.以上より自験例をシャンプー・ボディソープによるACD,感作物質はLAPDMAの可能性を強く考えた.これらの界面活性剤を含有しない製品に変更後,皮疹は急速に改善した.界面活性剤には化粧品成分名称と医薬部外品成分名称が異 なるものがあるので,十分な知識が必要である.

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© 2022 日本アレルギー学会
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