ファルマシア
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新しいホスホノアミダート型プロドラッグの開発
中尾 允泰
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2019 年 55 巻 6 号 p. 569

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抄録

リンパ球T細胞の一種であるVγ9 Vδ2 T細胞は,ヒトやほ乳類に特異的に存在しており,感染防御に重要な役割を果たしていると考えられている.近年は,Vγ9 Vδ2 T細胞が様々な腫瘍に対して強い細胞傷害活性を有することから,がん免疫療法への応用が注目されている.Vγ9 Vδ2 T細胞の活性化には,腫瘍細胞に存在する膜貫通型タンパク質の1つであるブチロフィリン3A1の細胞内領域にリガンドが結合する必要があり,天然のブチロフィリン3A1リガンドとして(E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブテニル二リン酸(1)が知られている.しかしながら,1を抗がん剤や抗感染症剤として臨床応用していくにあたり,血漿中でホスファターゼにより容易に加水分解を受ける,生理的条件下ではイオン型として存在するため膜透過性が低い,という問題点を克服する必要があった.本稿では,天然物である化合物1の化学構造を基盤とし,高い血漿中安定性と膜透過性を有する新規ホスホノアミダート型プロドラッグの開発について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Lentini N. A. et al., J. Med. Chem., 61, 8658-8669(2018).
2) Mehellou Y. et al., ChemMedChem, 4, 1779-1791(2009).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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