2013 年 67 巻 1 号 p. 487-494
模擬細孔溶液中にCa/Si比の異なる合成C-S-Hを加えたものを試料とし、炭酸化促進条件のCO2ガス濃度環境に曝露することで、C-S-Hの炭酸化性状に関して検討を行った。C-S-Hは炭酸化が進行しpHがほぼ平衡値まで低下しても残存しており、その大部分は低Ca型のC-S-Hであると推察されたが、初期Ca/Si比1.4のC-S-Hのみ、高Ca型のC-S-Hも残存していた。初期Ca/Si比の相違によって、炭酸化速度に差はなかったが、初期Ca/Si比が低い方がややC-S-Hの残存量が多い結果となった。この要因は、Siの含有量が多く、炭酸化を阻害するシリカゲル生成量が多いためではないかと考えられる。