日本応用動物昆虫学会誌
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原著
クスアナアキゾウムシの発育に対する温度と日長の影響
若山 学井上 大成佐藤 重穂前藤 薫
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2010 年 54 巻 3 号 p. 97-106

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抄録

クスアナアキゾウムシを様々な日長と温度で飼育し,発育特性を明らかにした.18~25℃の範囲では,幼虫は15L9Dの長日条件でも12L12Dの短日条件でも休眠することなく発育した.幼虫は5~13齢を経過して蛹化した.温度が低く発育が遅い条件では,脱皮回数が増加し,幼虫期後半に費やされる期間が延長した.死亡率は20℃で最も低く,また羽化成虫の体重は20℃で最も重かった.発育零点と有効積算温度は,卵で10.45℃と137.42日度,幼虫で15.19℃と1,361.58日度,蛹で10.28℃と177.34日度だった.これらの値に基づいて,高知県の平野部と山間部における発育経過を推定した.平野部では早い時期に産卵された場合には,年内に羽化し翌年産卵する1年型,遅い時期に産卵された場合には2年目に羽化し3年目に産卵する2年型となるが,山間部では早い時期に産卵された場合には2年型,遅い時期に産卵された場合には3年目に羽化し4年目に産卵する3年型になると推定された.

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© 2010 日本応用動物昆虫学会
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