日本薬理学雑誌
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特集:排尿障害治療薬の最新の知見~基礎・臨床研究から~
前立腺肥大症に対する前立腺血流を標的とした治療効果の可能性
清水 翔吾清水 孝洋東 洋一郎齊藤 源顕
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2019 年 154 巻 5 号 p. 250-254

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抄録

前立腺肥大症は,尿道閉塞による排尿困難や,二次的に発生した刺激が膀胱に伝わり頻尿及び夜間頻尿など下部尿路症状を引き起こす.近年の臨床及び疫学研究において,高血圧,高脂血症,糖尿病といった動脈硬化に関連する疾患が,前立腺肥大症を含む下部尿路症状の危険因子になりうるとの報告がなされた.また,複数の実験動物モデルを用いた基礎研究においても,前立腺血流低下(虚血)が,前立腺の細胞増殖や線維化,前立腺平滑筋収縮の増大に関与することが報告されている.そのため,臓器そのものだけでなく,骨盤内または前立腺血流自体が前立腺肥大症の治療標的になりうると考えられている.著者らは,自然発症高血圧ラットを用いて,前立腺血流低下に伴う前立腺肥大症発症メカニズムの解明並びに血管拡張薬の有用性について報告を行ってきた.本稿では,前立腺虚血及び前立腺肥大に関する研究成果を,著者らの研究成果を中心に紹介する.

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