日本薬理学雑誌
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総説
脳機能の解明に向けた全脳神経活動マッピング
笠井 淳司勢力 薫橋本 均
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2019 年 153 巻 6 号 p. 278-283

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抄録

脳機能は,複雑な神経ネットワークの情報伝達を介した個々の神経細胞の活動により制御されている.そのため,脳機能を理解するには,個々の神経細胞の活動を統合的に把握する必要がある.個々の神経細胞の活動を記録する方法としては,これまで電気生理学的な手法やカルシウムイメージング法などが汎用されてきた.しかしながら,これらの手法では,脳のごく一部の神経細胞の活動を記録することしかできず,神経活動の統合的な理解は困難であった.そこで最近,全ての神経活動を網羅的に検出する全脳全細胞活動マッピング法が開発されている.これを可能にしたのは,筆者らが開発したFASTシステムを含め,単一細胞を識別できる空間解像度で全脳をイメージングする光学顕微鏡技術である.単一細胞レベルの全脳イメージング法と神経活動レポーターマウスなどと組み合わせることにより,全ての脳領域から全細胞活動の情報を取得できるようになってきた.そこで本稿では,筆者らのFASTシステムを中心に高精細な全脳イメージング法について紹介し,さらに全脳神経活動マッピングの実施例とその解析法について紹介したい.

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