日本薬理学雑誌
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実験技術
『iPS細胞の創薬応用』 ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導法
諫田 泰成
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2013 年 141 巻 1 号 p. 32-36

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抄録

ヒトiPS細胞は再生医療や創薬への応用が期待されている.再生医療に関してはヒトiPS細胞由来分化細胞の安全性の確保が重要であり,造腫瘍性の評価など克服すべき課題も多い.一方,創薬応用は,分化細胞をin vitroで利用するため安全面のハードルが低く,創薬プロセスの早い段階で医薬品候補化合物の安全性や有効性を確実にスクリーニングできれば創薬の効率化や向上につながることが期待される.我々は創薬応用に向けた検証を行い,最適なヒトiPS細胞株の選択,分化誘導法,分化細胞の特性や均質性,定量的な薬理反応の評価法などの様々な観点から規格化が必要であることを明らかにしている.これらの問題点の多くは再生医療応用と異なっており,創薬応用独自の戦略が必要である.本稿では,心筋細胞を例に挙げて分化誘導法および分化細胞の特性に関する知見を紹介し,将来的に創薬応用の実用化に向けて整備すべき課題について考察したい.

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