日本薬理学雑誌
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PAC1受容体およびPACAP遺伝子ノックアウトマウスの創出とその薬理学的解析
橋本 均新谷 紀人松田 敏夫馬場 明道
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2000 年 116 巻 supplement 号 p. 116-120

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抄録

ニューロペプチド、PACAP(pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)の神経系における生理作用の解明を目的として、ES細胞におけるジーンターゲティング法によりPACAP受容体サブタイプの一つであるPAC1受容体の遺伝子エクソン2ノックアウトマウス、およびPACAPリガンド遺伝子ノックアウトマウスをそれぞれ作製し、各変異マウスについてPACAPシグナル系の機能変化と個体の行動異常を薬理学的に解析した。まず129系マウスゲノムDNAライブラリーよりPAC1受容体およびPACAPの遺伝子を単離し、構造を決定した。それらをもとに、ターゲティングベクターを作製し、PAC1受容体はD3株、PACAPはE14株のES細胞に導入して相同組換え体を得て、同ヘテロおよびホモノックアウトマウス産仔を得た。PAC1受容体ノックアウトマウスにおいては、ターゲティングしたエクソンより下流からN末に欠損のある産物が産生されていたものの、その発現量は野生型よりも大幅に低下していた。一方、PACAPノックアウトマウスを行動薬理学に解析した結果、その自発運動の亢進が観察され、とくに情動関連行動に野生型と比較して明らかな変化が認められた。

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