2016 年 42 巻 1 号 p. 15-21
ハニカムロータを用いた温度スイング吸着(TSA)式CO2分離回収システムに関する実験的研究を行った.まず,さまざまな吸着材を担持したハニカムコアを調製,CO2破過曲線と298 Kおよび453 Kにおける吸着等温線を測定し,良好なCO2吸着特性を示した13X, Li-LSXおよびNa-LSX型ゼオライトをハニカムロータ化の候補として選定した.次に,これらの吸着材を担持したハニカムロータを用いて,CO2分離回収実験を行い,回収CO2濃度とCO2回収率を測定した.ゼオライト13Xの担持率を高めたハニカムロータでは,298 K, CO2濃度10%の模擬排ガスから濃度90%,回収率22%でCO2が分離回収できた.なお,回収濃度を80%に留めれば,回収率は50%程度にまで上昇する.また,298 Kと453 Kにおける平衡吸着量差,すなわち有効CO2吸着量Δqが大きいものほどCO2分離回収性能がよいことから,本システムにおいては,有効吸着量Δqが主要な吸着推進力であり,吸着材選定のための指標となることがわかった.