2015 年 41 巻 4 号 p. 228-232
近年,マイクロ波加熱(MW加熱)を利用した新たなゼオライト膜の開発が進められており,合成時間が短縮されることが報告されている.しかしながら,MW加熱がゼオライト膜形成過程におよぼす効果はいまだ明らかになっていない.本報告では,マイクロ波加熱および電気炉加熱(CE加熱)を利用し,濃度の異なる2種類の合成溶液からゼオライト類似化合物SAPO-34膜を合成し,その形成過程を比較した.その結果,MW加熱を利用することで,合成溶液の濃度によらずSAPO-34膜の初期形成が加速された.また,希薄溶液を用いた場合において効果が顕著であることを確認した.4条件の比較から,MW加熱の特徴の一つである急速加熱効果により,合成溶液が結晶化温度に素早く加熱された結果,SAPO-34膜の形成が加速されることがわかった.