化学工学論文集
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材料工学,界面現象
V2O5–MnO2–KPO3–CuO系金属酸化物より構成される封着加工用鉛フリーガラスの特性評価
久保 翔平後藤 成吾岩田 龍祐甲原 好浩武井 孝行吉田 昌弘
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2014 年 40 巻 2 号 p. 137-142

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抄録

優れた低融性,高耐水性,低熱膨張性,高流動性を有する封着加工用鉛フリーガラスの開発は,セラミックスやエレクトロニクス産業の分野において求められている.本報では,金属酸化物および非金属酸化物(V2O5, MnO2, KPO3)からなるさまざまな組成のガラスを調製し,封着加工用ガラスとしての有用性を評価した.評価項目は,熱特性評価,耐水試験,粉末X線回折および赤外分光光度計による構造評価,フローボタン試験,明度測定,封着試験,封着強度試験である.調製したガラスの中で低融性かつ高流動性を有するガラスの組成は,40 mol%V2O5–10 mol%MnO2–50 mol%KPO3, 30 mol%V2O5–20 mol%MnO2–50 mol%KPO3, 30 mol%V2O5–10 mol%MnO2–60 mol%KPO3であった.それらのガラスは多量にリンを含むため,耐水性に乏しかったが,第4成分としてCuOを所定量添加することで耐水性を大幅に向上させることができた.しかしながら,それらのガラスの熱膨張係数は被封着材(ソーダライムガラス)の熱膨張係数(7–8×10-6˚C-1)より高かったため,熱膨張性の改善を行った.具体的には,低熱膨張セラミックフィラーであるリン酸タングステン酸ジルコニウム(Zr2(WO4)(PO4)2, ZWP)を所定量添加することで,被封着材と同等の熱膨張係数に調整することができた.さらに,それらの中で特に優れた特性を有するガラスは,市販の鉛ガラスと同等の封着特性を有していた.

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© 2014 公益社団法人 化学工学会
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