2013 年 39 巻 4 号 p. 384-390
下水汚泥を原料として熱分解および部分燃焼実験を行い,熱処理件が生成するタールに含まれる高級脂肪酸量に与える影響について検討を行った.また,熱分解,部分燃焼により得られる生成ガス組成,チャー組成およびタール成分を測定し,汚泥熱処理プロセスにおけるエネルギー回収率についても推算を行った.汚泥の熱分解,部分燃焼により回収されるタール中には高濃度で高級脂肪酸が含まれており,973 Kの部分燃焼処理条件においてフェノール換算で乾燥汚泥1 kg当たり21.42 gの高級脂肪酸が含まれていた.また,本実験で原料とした汚泥では得られた高級脂肪酸の多くはパルミチン酸であることが明らかとなった.この条件における高級脂肪酸回収率は43%であった.