日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
アルコキシルおよびアルキルペルオキシル遊離基の電子状態の分子軌道法的考察
山本 治加藤 博史米沢 貞次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 91 巻 10 号 p. 907-916

詳細
抄録

アルコキシル遊離基では炭素一酸素結合を,アルキルペルオキシル遊離基では酸素一酸素結合を変化させてReinらが提唱した。Iterative Extended Huckel法(IEH法)を用いて電子状態を計算した。IEH法を用いることにより酸素原子の不対電子が最高被占準位にくるようになり,Extended Huckel法の欠点が改良できた。不対電子は主として末端の酸索原子に局在しているが,アルコキシル遊離基ではアルキル基と,アルキルペルオキシル遊離基ではアルキル基に結合した飴位酸素とπ 共役を行なう。末端の酸素原子の不対電子密度は前者で1.O3,後者で1.30前後の値を示し,アルキルペルオキシル遊離基の方がより負に荷電している。これらの遊離基のESRの8値および結合次数についても検討するとともに分解反応,再結合反応,不均化反応の機構についても考察を行ない,計算結果がよく事実を説明し得ることを明らかにした。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top