1970 年 91 巻 10 号 p. 907-916
アルコキシル遊離基では炭素一酸素結合を,アルキルペルオキシル遊離基では酸素一酸素結合を変化させてReinらが提唱した。Iterative Extended Huckel法(IEH法)を用いて電子状態を計算した。IEH法を用いることにより酸素原子の不対電子が最高被占準位にくるようになり,Extended Huckel法の欠点が改良できた。不対電子は主として末端の酸索原子に局在しているが,アルコキシル遊離基ではアルキル基と,アルキルペルオキシル遊離基ではアルキル基に結合した飴位酸素とπ 共役を行なう。末端の酸素原子の不対電子密度は前者で1.O3,後者で1.30前後の値を示し,アルキルペルオキシル遊離基の方がより負に荷電している。これらの遊離基のESRの8値および結合次数についても検討するとともに分解反応,再結合反応,不均化反応の機構についても考察を行ない,計算結果がよく事実を説明し得ることを明らかにした。
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