インターネットという情報の巨大な伝送装置を得,おびただしい量の情報に囲まれることになった現代。実体をもつものの価値や実在するもの同士の交流のありようにも,これまで世界が経験したことのない変化が訪れている。本連載では哲学,デジタル・デバイド,サイバーフィジカルなどの諸観点からこのテーマをとらえることを試みたい。「情報」の本質を再定義し,情報を送ることや受けることの意味,情報を伝える「言葉」の役割や受け手としてのリテラシーについて再考する。
連載の最終回は,「情報学的転回」を取り上げる。20世紀に社会的価値観の変容をもたらした「言語学的転回」を踏まえ,情報学的転回は情報という概念を中心にして知の枠組みそのものを変える。AIブームに沸くいま,改めて真の情報教育の必要性を説く。