日本接着学会誌
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研究論文
天然高分子を用いた新規木材用接着剤の開発Ⅱ. キトサンの接着強度に及ぼす分子量および固形分塗布量の影響
梅村 研二飯島 泰男川井 秀一
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2005 年 41 巻 6 号 p. 216-222

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抄録

新規天然系木材用接着剤を開発することを目的に,キトサンの基本的な接着性能を検討した。本研究で平均分子量35,000から350,000までの4種類のキトサンを用い,固形分ベースの塗布量を変化させて3プライ合板を作製した。接着性能は,JIS K6851に準拠して引張せん断試験片を作製し,常態試験や煮沸繰り返し試験を行うとともに,pH1.7~10の各緩衝溶液および1%酢酸水溶液中での耐水試験によって評価した。常態試験での接着強度や木破率は分子量や塗布量が増えるにつれて大きくなり,特に塗布量に対する影響が著しかった。煮沸繰り返し試験では,固形分ベースの塗布量が32g/m² 以上で接着性を示すようになった。各緩衝溶液に24時間浸せきした場合,各種キトサンは緩衝溶液に関わらず同程度の強度が得られpHの影響はほとんど見られなかった。一方,酢酸水溶液に浸せきした場合,著しい接着強度の低下が認められ,低分子量のものほど,また固形分塗布瞳が少ないものほど短時間で接着力を失い,はく離を起こす結果となった。

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© 2005 一般社団法人 日本接着学会
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