本研究では,堺市旧野田村地区を対象とし,旧版大縮尺地形図および灌漑図をデジタル化して構築したため池・水路網ならびに農地利用図と郷土史文献資料,カエル類の鳴き声の録音調査により,灌漑水田景観が卓越する農村地域の都市化による水路管理・農地環境の変化とその要因,生物生息への影響の把握を行った。その結果,都市化は水路の暗渠化や農地の断片化をもたらしてきたが,水利組合には流量増加や寄附金収入なども一時的にもたらされること,乾田化や水路・畦畔のコンクリート舗装に適応できないカエル種が現在は少ないことが明らかになった。